利用者によるハラスメント被害の実態

介護現場のハラスメントは社会的な問題となっています。そこで、ここでは介護現場で起きるハラスメントの中から、介護士が利用者から受けるハラスメントの実態についてお話します。

まず、介護士がハラスメントを受けるのは、入浴の介助にあたる時が多いようです。例えば、入浴のために利用者の服を脱がせようとすると、突然殴る蹴るの暴行を繰り返し受けたという例があります。その他にも、女性の介護職員の場合は、トイレでのハラスメントが多いそうです。いきなり抱きつかれたり、体を触られたりという行為は日常茶飯事だという人もいます。しかし、そもそもハラスメントが起こるのは、自宅から施設に移るなど環境の変化にストレスを感じることが主な原因だと言われています。また、これまで自分でできていたことができなくなり、そのストレスを身近な介護職員にぶつけてしまうということも背景にあると言われています。

とはいえ、介護職は勤務時間が不規則で、ただでさえ厳しい労働環境にいます。そのうえ、このようなハラスメントによって介護職を志願する人が減ってしまうのは業界としても見過ごすことはできません。ですから、各介護施設ではハラスメントを防ぐために独自に様々な取り組みを始めています。

例えば、ある介護施設では、介護を行う前にちゃんと利用者とコミュニケーションを取るようにしているそうです。そして、これから行う介護サービスについて細かく説明したり、緊張している気持ちをほぐすために目を合わせて楽しく話しかけたりなどして、工夫しているそうです。その結果、利用者からの暴力やハラスメントが大きく減ったという報告があります。

その他にも、ハラスメントに関する相談窓口を設置したり、対処法のマニュアル作成などを国や自治体に提言したりもしていると言います。ハラスメントは現場で声をあげない限りその実態が掴みにくい為、被害を受けたらすぐに上司に報告し、積極的に対策を行うことが重要です。